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半円形にまっぷたつにされた黒い土盤、なにやら不思議な模様が描かれているけどこれは八鋒輪宝(はっぽうりんぽう)と呼ばれる土で焼かれた土版です。
輪宝は古代インドの理想の国王とされた転輪聖王の七宝の一つ、車輪形をした密教法具で王様の遊行(ゆぎょう:説法をしてまわる)時には、回転して対抗する敵をやっつけたんだって。
写真(図)は昭和59年(1984)鹿島城の発掘調査で堀跡から出土した輪宝の土版で、直径が18.8cm、厚さが1.9cm、同心円の周縁に鋒形が鋭く四本(もとは八本)浮き彫りされて、精巧な金属の感じを表しています。制作年代は周りから出土した土器などから15~16世紀と考えられています。この他にも3片見つかっていますが接合できませんでした。
使用目的ははっきりしないけど、地鎮祭の時に使われた道具だろうということです。地鎮祭は道路建設や工事現場で偉い人たちがスコップを持って土を盛ったりしているのを見かけたことがあると思うけど、工事や作業の安全を祈願する儀式なんだ。昔は殿様が住む場所が凶で縁起の悪い場所だったりしたら困るというわけで、縁起のいい吉の場所の土と入れ替えたり、邪気を祓うためにも、お城のような大きな土木工事では欠かせない儀式だったようです。 |