第8回 塚に入ってきたお地蔵さん

2017/04/25

今回紹介するのは小さな小さなお地蔵サン。昭和48、9年頃鉢形神宮寺の経塚から工事中に発見されたものですが、発見されたときの詳しい状況は不明です。このお地蔵さん正確には銅製地蔵菩薩立像と呼ばれています。像の高さは7cm(台座を含めても8.2cm)、台座とともに一度に鋳造されたものです。作られた当時は光り輝いていたと思われますが、像の表面に金を塗った様子はなく、今は緑青(銅のさび)に覆われています。顔面は深く均整のとれた体部に、浅く細かい線で衣の模様が、流れるように表現されています。形は小さいながら制作技術はとても優れた仏像です。大衣に右手を垂下している様子は比較的古いタイプで、制作されたのは平安時代後期11世紀頃と考えられています。
経塚は経筒(お経を入れた筒)などを埋めた塚のことで、塚の中からはこのお地蔵さんの他に銅製の錫杖(しゃくじょう)や五鈷鈴(ごこれい)など、密教で使う道具も見つかっています。

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