鹿嶋の遺跡めぐり 連載2回

2017/04/25


JR鹿嶋神宮駅の北側に広がる約90haの台地上にある遺跡で,昭和49年(1974)に分布調査が開始されてから30年以上にわたって,発掘調査が実施されてきました。これまで1万年以上前の旧石器時代~古代~中世・近世に至る数多くの遺構が検出されています。
縄文時代の住居跡は約300軒,高床式と思われる掘立柱建物跡が25棟,落し穴が42個,袋状土坑と呼ばれる食糧貯蔵穴は2500基以上検出されています。出土した縄文土器は数万点,石錘(せきすい=網のおもり)や石鏃(せきぞく=やじり)などの石器の数は数千点に及び,漁労や狩猟など様々な生活が展開していたことを窺わせます。
これまで調査した部分は厨台遺跡全体の6分の1ほどですから全体ではどれだけあるのか見当も付きません。特に縄文時代の中期(5000~4000年前)には気候が温暖で自然に恵まれたこともあって,全国的に人口も爆発的に増加しています。
縄文土器や石器の中には数百キロも離れた地域から運ばれてきたものもあり,人も物も厨台に集まってきたような観があります。このことは厨台という地域が縄文人にとってどんなにか生活しやすい環境であった事かを物語ってくれる一つの証拠でもあります。
土器には動物の意匠をモチーフにしたものが多く,赤い塗料やへらのような物で絵を描いた土器もあり,自然との関わりが深い生活であったこと,精神的にも豊かな生活であったことを思わせます。

カテゴリ:鹿嶋の遺跡めぐり