第11回 子孫繁栄を祈る・・・子持勾玉

2017/04/25
 今回紹介するのはコレ。なんだかわかるかな。孔が眼のように見えるので鳥のくちばしかウリ坊(猪の子ども)、はたまた魚のようにも見えるなんともヘンテコリンな奇妙な形でしょ。実はこれ滑石という柔らかで加工し易い石で作られた子持勾玉という石の製品である。言葉のとおり腹や背中、両脇のほうまで簡略化した小型の勾玉が幾つもぶら下げるように付けられている。まるで映画に出てくるゴジラのミニチュア版のようだね。古墳の副葬品や祭祀の遺跡から出土しているものが多く、神を祭る儀式、あるいは使者を送る儀式に使われたものだろうと推定されているンだけれど、本当のところは分かっていないんだ。でも自然に依存することが多い昔のことだから、子孫繁栄や食料である自然の恵みが増えるようにと、古代の人々が神(自然)やなくなった人の魂に祈りをささげるときに使ったんだろうね。
呪術的な性格を持つ道具と思われる勾玉は、彎曲した体の一端に穴をあけたもので、縄文時代からある日本独自の玉の形で、紐をつけて首から吊り下げる装身具と考えられているんだ。昔は頭の端を嘴形に彫刻し、孔を目とする鳥の頭になぞらえたもの、江戸時代には石剣頭(刀剣の把頭)とする珍説もあったんだよ。『日本書紀』には「勾玉」、『古事記』には「曲玉」と書かれているから、ずうっと昔から使われてきたんだね。大昔の祭祀や信仰の生活は今も形を変えて続いている。

カテゴリ:埋文ニュース-市内史跡めぐり