第10回 歴史の糸を紡ぐ紡錘車

2017/04/25


延べ25年も続いた厨台遺跡の発掘調査では、さまざまなものが見つかっている。これは平安時代の竪穴式住居跡から見つかった滑石製紡錘車。直径4.3cm、厚さ1.8cm。重さ52g。中央に9mmの貫通孔があいている。紡錘車は糸を紡ぐとき回転によって糸に縒りをかける画期的な道具なんだ。弥生時代に韓国から稲作文化と共に日本に渡ってきたらしい。土製や鉄製、石製だけでなく土器の破片に穴をあけて作ったり、中には鹿やクジラの骨で作ったものまであるんだ。円盤形や算盤玉形など形も大きさも様々だけど、どれも真ん中に心棒を通す穴があいてる。この穴がヘソのように見えることから昔はへそ石なんて呼ばれていたんだって。今でもアンデスの方ではラマの毛を紡ぐのにインディオの女性が使っているのが見られるよ。

さてこの紡錘車。よく見ると傷のように見えるけど文字が書いてあるんだ。「申田」「左」と読める。側面にも「右・左」の文字があり、使い方を間違えないように方向を書いたのかな。「申」の字の下が曲がっていて「申」も[田」も上に「雨」カンムリが省略されている、と神宮の人が話していたけど、「電・雷」だったらすごく強そうだね。それにしても鹿島神宮に所蔵されている銅印と同じ文字というのは、厨台遺跡と神宮はきっと何か関係があるんだろうね。

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