第21回 「律令の風」 -奈良時代の硯-

2017/04/25
硯が鹿嶋でお目見えするのは奈良時代。奈良~平安時代の鹿島郡の役所の跡である神野向遺跡(かのむかいいせき)から見つかった円面硯(えんめんけん)と呼ばれる硯があるんだ。須恵器と呼ばれる還元焼成で焼かれた灰色の硯は字のとおり円形で透かしの入った高台がついている。外側に高い縁をつけ、その内側にも縁をめぐらし、真ん中は陸といって墨を擦る部分、外側は墨水を入れる海の部分、使い方は今と一緒。墨は墨汁ではなく、固形のものを擦って使った。写真の硯は内側の縁が無いタイプを接合復元したもので、縁に沿う溝が海、真ん中が陸。平安の時代途中で石の硯が発達し、円面硯は使われなくなるんだ。
律令時代この硯で墨を擦り、木簡という木札にどこの誰が納める税か書き込み、都まで運んだんだ。律令という都から吹いてくる風は地方の農民には自分で風向きや強さを変えることは出来ず、たえず風任せ。6歳以上の人には口分田が与えられ、租・庸・調などの租税、労役・兵役など農民の生活は厳しいものだったと考えられているんだ。
当時、字を書ける人は主に役人か僧侶、国民皆が字が読み書きできるようになったのは明治時代、ついこの間だね。

カテゴリ:埋文ニュース-市内史跡めぐり