第16回 「急々如律令」 呪符木簡

2017/04/25

みなさん安倍晴明を知っていますか。このごろブームの陰陽道。鹿嶋でも行われていたんだよ。
鉢形地区や爪木地区の条里遺跡(田んぼの跡)から見つかった木簡に「急々如律令」(きゅうきゅうにょりつりょう)と書かれていたんだ。
「急げ急げ律令の如く」つまり「法令に従って速やかに実行せよ」って意味。この文句はもともと中国で漢の時代に公文書の書止めに使われていたんだ。
鉢形から見つかった木簡のもう片面には「蘇民将来子孫也」(そみんしょうらいしそんなり)と書かれていたんだ。この蘇民将来とは備後国風土記に出てくる伝説上の人物で、北国に住む武塔の神が妻となる女性を探しに南の国に赴いたら途中で日が暮れてしまった。そこで蘇民将来と巨旦将来に一夜の宿を求めたら裕福な弟巨旦は断り、貧乏な蘇民は歓迎した。武塔の神は帰路再び巨旦の家に寄りそこで働く蘇民の娘に「蘇民将来子孫也」と書かれた木簡と茅の輪を与え、この娘を残して巨旦将来一族を滅ぼしてしまった。つまりこの木簡を身につけたり家屋の入り口に付けることで自分は蘇民将来の子孫なので武塔の神が起こしたような仕打ち(疫病・災難)から免れることができるようにと願ったんだ。
使われていた時代は多分一緒に見つかったものから推測して中世?低湿地に埋まっていたから朽ちなかったんだ。
でもどうして水田からこんな呪符(じゅふ)が見つかったのかな。稲の病害虫除けかな。豊作祈願かな。

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